古くは、石畳,霰(あられ)などとも呼ばれてきた市松模様。
幾何学的な模様の中で、最もシンプルなものとして日本に限らず、海外でも使われている模様のひとつです。
その意味や歴史、由来、縁起についてご紹介します。
市松模様の模様が持つ意味

市松模様は日本古来からの伝統的模様のひとつです。
2色の正方形を交互に並べたデザインは、上下左右に途切れることない模様が特徴です。
終わりがないように見えるそのデザインから「永遠」や「発展」「繁栄」の意味を持つ縁起の良い柄として知られています。
市松模様の由来

市松模様の歴史は古く、古墳時代の埴輪(はにわ)の服の柄に使われていたと言われます。
飛鳥時代の織物にも見られることから、古くからこの模様は存在していました。
ただし、市松模様という名はなく、江戸時代より前は石畳文様と呼ばれていました。
その名が知られるようになったのは江戸時代の中期。
歌舞伎役者が市松模様の袴を着用したことから、女性の間で流行しました。
役者の名は佐野川市松。その名をとって市松模様と称されるようになりました。
当時は、白と紺の正方形を色違いに並べた模様でした。
市松模様は縁起が良い模様

前述のとおり、上下左右に途切れることなく続くことから、「永遠」や「繁栄」を意味する縁起の良い柄です。
そのため、子孫繁栄や事業拡大などの願いを込めたプレゼントにふさわしいとされます。
また、使われる色によっては華やかで人の目を引きます。
記者会見などで使われるバックパネル、インタビューボードの模様は市松模様です。
ロゴやイラストを効率よく見せるため、また、派手すぎず不快感を与えない効果があります。
さらに、目立つ効果もあるため、F1などのレースでチェッカーフラッグとしても使われています。際立つサインでドライバーにメッセージを伝えるためです。
記憶に新しいのが、2021年の東京オリンピックのエンブレムとして採用されたことです。
一般的な正方形の模様ではなく、3つの四角形を組み合わせによる市松模様になっています。
そこには、多くの文化や国が関わり、つながっていく事による「多様性と調和」のメッセージが込められています。
市松模様とチェックとの違いとは?

海外では市松模様と似た模様があります。
ギンガムチェックやタータンチェックのチェック柄です。
市松模様とチェック柄はとてもよく似ていますが、下記の違いがあります。
- 市松模様は、違う色が互い違いに配置されている
- チェック柄は、色が交差している
チェック柄のひとつであるアーガイル柄は、菱形と斜めのラインで構成されていますが、市松模様の中には「斜め市松」があります。
フランスのファッションブランド、ルイ・ヴィトンの象徴的なデザインであるダミエは、日本の市松模様をヒントにしたとする紹介がいくつもありますが、公式の出典はありません。
まとめ:市松模様は繁栄の意味が込められた模様

市松模様についてご紹介してきました。縁起物としての意味もありますが、デザインと機能的な面でもいつの時代でも愛されてきた模様であることが分かります。これからも大切に伝えていきたい和柄のひとつです。
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