日本には古くから愛されてきた伝統的な柄、和柄があります。
さまざまな縁起物から模様が作られており、「吉祥文様」とも呼ばれます。
よく見かけるのは着物や浴衣ですが、衣類のほか道具やインテリアなどにも使われており、探してみると至るところで和柄が発見できます。
一つ一つに意味があり、そこには人の想い、願いが込められています。
プレゼントやお祝いの場で見かけた際、その想いを知るのも良いかもしれません。
縁起の良い和柄(植物14選)
和柄の中で、花や草木などの植物が使われている文様です。
それでは、画像とともにご紹介します。
小桜、桜散らし、桜七宝(こざくら、さくらちらし、さくらしっぽう)

五穀豊穣、繁栄
桜の花見はかつて五穀豊穣を願う行事であったことから、豊かさと繁栄を意味してきました。
また、春の象徴で新たな季節の訪れを知らせることから縁起の良い物事の始まりも意味します。
平安時代から歌として桜が詠まれ、また、着物などの文様としても使われてきました。
桜の文様は多くありますが、代表的なもの花びらを散りばめた「小桜」です。
また、様々な桜の花を散らしたのが「桜散らし」の文様もあります。
ほかの文様との組み合わせで、円満を意味する七宝と合わせた「桜七宝」も和柄ならではの楽しみ方です。
橘(たちばな)

長寿、子宝
平安時代より文様として使われたと言われています。
吉祥文様の多くが中国から伝わったものですが、橘は日本発祥の文様です。
日本最古の歴史書「古事記」では、橘はみかんを指しており、不老不死の国で生え育ったことから長寿である所以が伺えます。
また、一年中葉の色が緑であることから繁栄や子宝という意味合いもあり、縁起物としてお正月の鏡餅にみかんを乗せるのもこのような由来からきています。
菊(きく)

不老不死、長寿、無病息災
菊は奈良時代に薬草として中国から伝わったものとされています。
平安時代には、九月九日の重陽の節句に長寿を願う菊酒の宴があったと言われています。
この頃より長寿の漢方薬として使われてきたこともあり、不老不死や無病息災の意味があったようです。
また、文様としても鎌倉時代より見られるようになり、江戸時代の頃には仏具や和菓子の柄にも使われるようになりました。
椿(つばき)

不老長寿、厄除け
椿は日本が原産で、古来より聖なる木、神事に欠かせない木として使われてきました。
葉が青々としている常緑樹であることから吉祥木、常盤木と呼ばれてきました。また、樹齢が長く、不老長寿の木として扱われています。
漢字ではきへんに春で文字通り、冬から春にかけて花が咲きます。冬のイメージがあるため、浴衣に椿の柄があると涼しげな印象を与えます。
平安時代の頃より、椿から採れる油は化粧品として使われました。鎌倉時代には鑑賞の対象となり、室町・桃山時代には工芸品として、そして、江戸時代には「百椿図」が刊行され、庭に植えるなど椿がブームとなります。
一方で椿の花は、花が丸ごと落ちる様子が不吉と言われることもありますが、俗説のようです。
松、若松、老松(まつ、わかまつ、おいまつ)

長寿、不老不死、威厳
松の木は一年中、葉を落と差ない常緑樹であり、厳しい自然環境の中でも力強く育つことから、神の宿る木と言われています。また、一年を通じて葉の色が変わらない「常盤木」で、古くから縁起の良い木とされてきました。
新年に年神様を迎え入れるために飾る門松の風習の通り、松は祀る木としても使われます。
松の文様で代表的なものは「若松」と「老松」で、若松は新芽がついており、若々しい松を描いた文様です。老松は樹齢を重ねた背の高い松を描いており、歴史を感じ、風格を備えた松の姿が表現されています。
梅(うめ)

忍耐、生命力、子孫繁栄、開運・学業成就
梅は冬の寒さ厳しい時期に花を咲かせることから、忍耐・生命力の象徴とされています。また、古くは万葉集で歌われ、平安の頃までは花見といえば、梅の花であったと言われています。
学問の神様である菅原道真が梅を愛したことから、開運・学業成就のご利益があるともされています。この天神信仰の広まりにより、梅の人気が高まり、着物や工芸品の文様として使われるようになりました。
竹(たけ)

不老不死、長寿、力強さ
竹は天に向かってまっすぐに伸びる、また、冬も枯れないことから古来より吉祥の植物とされてきました。
その姿から不老不死・長寿・力強さの意味がありますが、芽を増やしすくすくと育つことから子孫繁栄の象徴ともされます。
竹文様は、着物や帯でよく使われるほか、工芸品では竹が描かれた蒔絵をよく見ます。また、同じく縁起物の松や梅と合わせて使われることもあります。
瓢箪(ひょうたん)

子孫繁栄、商売繁盛、無病息災、厄除け
瓢箪は末広がりの形から、縁起物とされてきました。
ツルが伸びて絡みつく様子から商売繁盛、また、種子が多いため子孫繁栄の象徴とされてきました。
さらにはその独特の姿から、吸い込んだ邪気を封じるとされ、 お守りや魔除けとしても使われます。
語呂合わせで、瓢箪が3つで三拍(瓢)子、6つ揃って無病(瓢)息災ともいわれます。
朝顔(あさがお)

朝顔は平安の頃に中国から伝わり、江戸時代に観賞用として庶民に愛されました。
鮮やかに咲く花と、しっかりと伸び絡みつくツルが印象的です。
そのツルの様子から相思相愛、固い絆の意味がこめられています。
また、朝顔は別名を「牽牛花」と呼ばれ、牽牛(=彦星)が年に一度、織姫と巡り会えることから縁起の良い花とされています。
夏の風物詩ということもあり、浴衣の文様によく見られますね。
松葉(まつばちらし)

松の木は吉祥樹としてご紹介しましたが、その葉も縁起物として知られています。
枯れて落ち葉になっても、二本の葉がしっかり繋がっており、離れることがありません。
そのことから夫婦円満の意味もあると言われ、仲の良い夫婦のプレゼントとしてぴったりの柄です。
牡丹(ぼたん)

牡丹は花が大きく、美しいその姿から「花の王様」「百花の王」と呼ばれています。
硬く小さいつぼみが、いつしか膨らみ大きな花を咲かせる様子から富貴、高貴、幸せを象徴する花とされています。
また、牡丹の「丹」は不老不死の仙薬を意味します。
ことわざに「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」とありますが女性に人気があり、着物の文様によく使われます。
唐草(からくさ)

唐草の歴史は古く、文様の原型はメソポタミアやエジプトから伝わったとされています。
アラブ諸国ではモスクの装飾として、日本では風呂敷や獅子舞のかぶり物としてお馴染みです。
唐草文様はツルや茎、葉が途切れず伸びる様子から繁栄・長寿の意味があります。
麻の葉(あさのは)

六角形が規則的に配置した幾何学文様で、麻の葉に似ていることがこの名の由来です。
麻の葉は成長が早くまっすぐ伸びるため、健やかな成長を願い、子供の産着の文様などによく使われました。
また、魔除けの意味もあるため、産着の柄としては最適でした。
最近はこの意味を知らなくても、子供が喜ぶ文様になりましたね。
笹の葉(ささのは)

吉祥の植物として竹文様をご紹介しましたが、笹の葉もまた縁起の良いものとされています。
竹と同様に長寿の意味のほか、子が健やかに育つとの願いも込められています。
縁起の良い和柄(動物、昆虫12選)
続いて、和柄の中で動物や昆虫が描かれている文様です。
これから1つずつご紹介していきます。
千鳥、波千鳥、千鳥格子(ちどり、なみちどり、ちどりこうし)

千鳥は「千取り」「千の福を取る」と言われ、縁起の良い柄と親しまれています。
この千鳥に波の文様を組み合わせたのが波千鳥で、共に世間の荒波を乗り越えていくということから、夫婦円満と家内安全の意味が込められています。
千鳥を格子状に並べ、単純化した千鳥格子は欧米ではハウンドトゥース(猟犬の牙)と呼ばれています。
鴛鴦(おしどり)

現在でも「おしどり夫婦」といわれるように夫婦円満の意味が込められた縁起の良い柄です。
桃山時代から着物の柄などに盛んに使われており、現在でも使われています。また、鳥をモチーフにした縁起の良い和柄の中でも季節にとらわれずに使用できます。
鸚鵡(おうむ)

中国の古い文献では瑞鳥(ずいちょう:吉兆とされる鳥)として「赤鸚鵡」「白鸚鵡」が記されているなど古くからおめでたい鳥として知られていました。
また、にぎやかで鮮やかな南国の鳥、瑞鳥でもあるオウムは、風水の分類では九紫火星に属します。九紫火星がつかさかどる美しさ(美容)・自信が持てる・主役になるなどの意味があり縁起がいい柄です。
亀甲(きっこう)

亀の甲羅の模様を模した正六角形をしており、亀は万年生きると言われていることから長寿を象徴する縁起の良い柄です。
種類としては、「亀甲繋ぎ(きっこうつなぎ)」、「亀甲花菱(きっこうはなびし)」、「毘沙門亀甲(びしゃもんきっこう)」など多くのバリエーションがあります。
鶴(つる)

「鶴は千年」といわれるように長寿の象徴として古くから用いられてきました。
また、鶴の特性でつがいが仲良く一生を添い遂げることから夫婦円満の象徴でもあります。
このことから、鶴の柄は結婚式の色打掛にも定番の柄になっています。
鶴は組み合わせの柄の種類が多いのも特徴で、組み合わされた柄に合わせて季節感を演出できます。
鯛(たい)

「鯛文」は、めでたいという語呂合わせで、縁起が良く祝い事などによく用いられています。
鯛文の中の「祝い鯛文(いわいたいもん)」は、出産祝い、還暦や古希の祝いの贈り物として、旗や着物、足袋、Tシャツ、手ぬぐいなどの文様として人気があります。
鱗(うろこ)

三角形を並べた模様で、魚や蛇の鱗に似ていることから「鱗文様」呼ばれるようになりました。
三角形には魔除けの力があるとされていることに加え、鱗は身を守るためのものであることから魔除けとして使われています。
また、蛇は生命力を象徴する生き物とされており、再生の意味を持つ縁起の良い柄とされています。
鮫小紋(さめこもん)

鮫の文様を使った江戸小紋の代表的なものが「鮫小紋」です。
半円形の模様を重ねたように見える文様です。
45度に規則正しく並べた「行儀小紋」、正方形を縦横に並べた「角通し」と並んで「小紋三役」と呼ばれています。
現在は、茶道をなされる方の着物の文様として、また、お宮参り、入学式や卒業式、結婚式などに使う柄としても使える格式の高い文様です。
蝙蝠(こうもり)

蝙蝠は中国で「蝠」と「福」が同じ音のため福を呼ぶ縁起のよい柄として人気があり幸福、長寿の象徴とされます。
特に、5匹の蝙蝠を描いたものは「五福」とよばれ、長寿、富、健康、子孫、繁栄のシンボルとされ縁起の良い柄として使われています。
また、日本では洞窟を迷わず進む蝙蝠の様子から、迷わず目的地へ進んでいけるように、と言う意味も込められています。
蜻蛉(とんぼ)

蜻蛉は、前にしか進むことができず、害虫を捕食する性質から、「勝虫」として、勝利の象徴とされています。
また、成功や出世のシンボルであり、戦国武将の鎧兜や陣羽織などのデザインにも使用されました。有名な武将では、前田利家や本田忠勝などが採用していたそうです。
蝶(ちょう)

「蝶」は、幼虫からさなぎ、そして蝶へと成長していくことから健やかな成長を願うと言う意味が込められています。
他にも、仲睦まじい蝶の夫婦の姿に重ねて夫婦円満の意味、天高く昇っていく様に立身出世の意味が込められた縁起がいい模様です。
また、「牡丹」「芍薬」と蝶を組み合わせた振袖柄は、蝶の持つ吉祥の意味を持ち、併せて牡丹のように華やかな美しい女性でありたいという願いが込められているなど、組み合わせる柄によってさらに縁起がいい柄です。
鹿の子斑(かのこまだら)

鹿の背中にある斑点の模様に似ていることから鹿の子斑と呼ばれています。
鹿の子模様に込められた意味は、鹿は神の使いともされていることや、繁殖力が高いことから、子孫繁栄の意味が込められています。
また、絞り染めの鹿の子模様の着物は大変手間がかかるので、高級な和装などでよく用いられます。
縁起の良い和柄(道具11選)
続いて、和柄の中で道具などが描かれている文様です。
こちらも参考画像と併せてご紹介します。
矢絣(やがすり)

「矢絣」とは、弓矢の羽模様のことを言い、白色の矢と別の色の矢が交互に並んで構成されています。
この柄には戻らないという意味が込められており、昔は結婚の際に親が娘にこの柄の着物を持たせることが多かったそうです。
また、現在では、まっすぐに進むということにあやかって、卒業式に切る着物の柄としても人気の柄です。
籠目(かごめ)

「籠目」とは、竹で編んだ籠の格子状の網目のことを言い、網目の形状により「六つ目編み」、「四つ目編み」、「麻の葉編み」、「ござ目編み」、「波網代」、「松葉編み」など様々な種類があります。
特に、星の形になった「六芒星(ろくぼうせい)」の形は、邪気を払うとされ、イスラエルでは国旗に使われるなど、世界的に共通して、神聖なイメージを持つ柄になっています。
日本でも古くは、魔除けのために、玄関に籠目柄の竹籠をつるすなど古くから邪気を払う縁起の良い柄として使われています。
七宝(しっぽう)

七宝とは、仏教の経典に出てくる七種の宝のことで、ひとつの円の円周を4分割して、他の4つの円で等しく4つの部分で重なるように配置します。同じ重ね方で、同じ大きさの円を連続して重ねていくと、七宝つなぎの文様になります。
円形が連続して繋がることから、円満、調和、ご縁などの願いが込められた縁起の良い柄です。また、人の御縁や繋がりは、七宝と同等の価値がある事を示している柄でもあります。
網目(あみめ)

網目は、漁で使う網目のように柔らかい曲線に囲まれた文様で、大漁や一網打尽の願いが込められた縁起の良い柄として使用されています。同時に邪気を通さないとして魔除けの意味合いでも親しまれている柄になります。
陶磁器や手拭などで多く見かけ、魚や海老などの動物を加えて、「大漁紋」として漁業従事者に好まれました。
現在では、料亭などの女将さんの着物の柄としても使われることがあります。
釘抜(くぎぬき)

元々は打ち込んだ釘を抜き取るための道具の座金を図案化したもので、「釘を抜く」=「九城(くき)を抜く」つまり、多くの城を攻略する縁起担ぎ立身出世に繋がる模様です。
他にも、「釘を抜く」=「苦を抜く」という意味や、「釘抜き」は”重点・支点・力点”の三点を合わせて力を発揮することから、結束による打開と言う意味も持っています。
打ち出の小槌(うちでのこづち)

振れば宝物が出て来るという打ち出の小槌は、縁起の良い物として人気があります。「宝尽くし(たからづくし)」という柄を構成する宝物の中のひとつでもあります。
平安時代から、宮中にて親王や官女の衣装に使われました。現在では、一生物に困らないように、願いが叶うようにという思いを込めて、お宮参りの着物の柄に使われています。
熨斗、束ね熨斗(のし、たばねのし)

熨斗はご祝儀袋にある「のし」のことですが、元々はあわびの肉を薄く引き伸ばし乾燥させた「のしあわび」のことです。
あわびを何度も伸ばして使われたことから長寿の縁起物とされてきました。
江戸時代の頃より、結納品や引き出物に添えられたことが熨斗の始まりとされています。
宝尽くし(たからづくし)

宝物を集めた文様で、願いが叶うとされる「如意宝珠(にょいほうじゅ)」、その他、「打ち出の小槌」や「金嚢(きんのう)」、「隠れ蓑(かくれみの)」、「宝剣(ほうけん)」、「法螺(ほら)」、「丁子(ちょうじ)」、「分銅(ふんどう)」など、たくさんの宝物が描かれています。
中国の縁起の良い吉祥文様(きっしょうもんよう)とされる「八宝」に由来するもので、室町時代に日本に伝わり和風化したものが「宝尽くし」となりました。
ふみ文(ふみもん)

「ふみ文」とは、手紙をひと結びした結び文の模様で、平安貴族の恋文にも使われた雅な形です。
縁を結ぶという意味が込められた縁起の良い柄になります。現在でも着物の柄として使用されています。
鈴(すず)

お宮参りの着物柄に鈴が描かれているのは、神様に呼びかけて祈りや願いを届けることを意味します。古来、鈴の音には獣や魔物などを追い払い、神や縁起のよいものを引き寄せる力があると信じられてきました。
今でも、女の子の初着には頻繁に使われ、メイン柄として背に大きく描かれることが多いです。
扇(おうぎ)

扇文様は、扇の形をしていることから、末広がりという意味で、拡大や発展を象徴する縁起の良い文様とされています。扇文様は別名、「末広(すえひろ)」とも呼ばれています。
扇の文様は、開いたもの、半開きのもの、閉じたものなど多様性があり、流水に扇を流した文様は、「扇流し(おうぎながし)」と呼ばれ、水に扇が流れていく美しい様を描いています。
縁起の良い和柄(自然9選)
最後に、和柄の中に自然が描かれている文様です。
こちらも画像と併せてご紹介します。
市松模様(いちまつもんよう)

「市松模様」は碁盤目状の格子の目を色違いに並べた模様で、チェック柄に似た模様です。その見た目から「石畳模様」とも呼ばれています。
市松模様は、その柄が途切れることなく続いて行くことから、繁栄の意味が込められており、子孫繁栄や事業拡大など、縁起の良い模様として沢山の人に好まれています。
また、同様の理由から、市松模様は2021年の東京オリンピックのエンブレムも採用されています。
雪輪、雪華文(ゆきわ、せっかもん)

「雪輪文」は、牡丹雪のように丸みを帯びた結晶をもとにした文様です。雪の結晶は「六花」と呼ばれ、円形の中に6つのくぼみがあります。
また、豪雪の年は、豊作となることから雪は「五穀の精」と言われていました。そのことから、雪輪文様や雪華文様は豊作の象徴となっています。
雪輪の文様の種類としては、「雪輪桜文(ゆきわさくらもん)」、「雪輪笹龍胆文(ゆきわささりんどうもん)」、「雪輪すすき文」、「雪輪春草文(ゆきわはるくさもん)」などがあります。
立涌(たてわく)

「立涌」は、2本の曲線を用いて、水蒸気が涌き立ちのぼっていく様子を表す有職文様のひとつです。この、蒸気が立ち上るさまは縁起の良いものとされています。
その他にも、陽炎が立ち昇る揺らめきの様子や、雲気(うんき)が立ち昇る様子と言われることもあります。
現在では様々なバリエーションがあり、菊が配された「菊立涌」、雲が配された「雲立涌」、波が配された「波立涌」などがあります。
入子菱(いりこびし・いれこびし)

入子菱(いりこびし、いれこびし) 入子菱は、菱形の中にさらにいくつかの菱形を入れた吉祥文様です。 菱形は、厄除けや健康を願う意味があると言われています。
菱形の由来は、菱(ひし)は、池や沼に生息するアカバナ科の水草ですが、菱の果実が四角形をしていることから、菱形(ひしがた)と呼ばれるようになりました。
流水(りゅうすい)

水が流れる様子を線で描いた模様で、厄を流す=魔除け・流れる水は腐らない=清らかさ・火難除けなどの意味があります。
他の模様と組み合わせて使う装飾として使われることも多く、水流と渦をかたどった「観世水(かんぜすい)」は特に有名です。
青海波(なみ・せいがいは)

「青海波」は、広い海がもたらす恩恵を菅議させる柄で、無限に広がる穏やかな波のように見えることから、未来永劫と平和な暮らしへの願いが込められた縁起の良い柄です。
「青海波」は、ササン朝ペルシャで生まれたものが、中国へ伝わり、中国から飛鳥時代の日本に伝わったとされています。平安時代に書かれた源氏物語の中にも登場するなど、古くから親しまれている柄です。
菱形(ひしがた)

縄文時代の土器にもこの形が書かれており、後の時代に水草の一種であるヒシの葉と実に形が似ていることから菱文様と呼ばれるようになりました。
そんなヒシの実は、栄養価も高く薬効もあることから、古来より重宝されていました。
紗綾形(さやがた)

「紗綾形」は、卍(まんじ)つなぎ文の一種で、端正な卍つなぎを菱(ひし)状にゆがめた形です。
連続文の卍つなぎは不断長久(ふだんちょうきゅう)を表すものとして、家の繁栄や長寿などの意味を持つ縁起の良い柄です。
また、卍の起源は石器時代のインドで太陽が光を放つ様子を表しているとされヒンドゥー教や仏教でも縁起の良い柄とされます。
石畳(いしだたみ)

「市松模様」と呼ばれることが多く、意味としても市松文様と同じく、その柄が途切れることなく続いて行くことから、繁栄の意味が込められており、子孫繁栄や事業拡大などの意味が込められた縁起の良い模様とされています。
まとめ:【日本の伝統吉祥和柄の名前・種類・意味について】
ここまで日本の代表的な和柄をご紹介しました。
一見、何の意味もなさそうに見える柄も、実は意味と由来が込められています。
最近は、アニメで扱われたことでより身近な存在となりましたが、意味が分かるとより興味が湧いてくるかと思います。
贈り物や祝い事で柄を選ぶときに、それぞれに込められた縁起物の意味に合わせて選んでみるのも良いかもしれません。
コメント