世の中には縁起の良い花もあれば、縁起が悪いとされている花も存在します。
ガーデニングや部屋に飾りたい、ただ、縁起が悪い・・・という話しを聞いたことがある。
本当のところはどうなのでしょうか。
怖い、不吉、死を連想させる、そんな印象を持たれている花について調べてみました。
縁起の悪い花と言われている花10選
縁起が悪いと言われている花10種類です。
聞いたことがある花もあると思います。これから1つずつ解説していきます。
百日紅(サルスベリ)
百日紅は夏から秋にかけて、ピンクや白、赤の美しい花を咲かせる木ですが、縁起が悪いという説を見かけます。
調べた結果、迷信であることが多数を占めますが、なぜ縁起が悪いと言われるようになったのでしょうか。
名前の由来はその名の通り、樹皮がツルツルとしており、猿も滑り落ちることから来ています。
この「滑る」や「落ちる」といった言葉がマイナスのイメージを連想させる要素と考えます。
また、原産地は中国で、仏僧が日本に伝えたため、お寺や墓地でよく見かけるというのも要因のひとつかもしれません。
しかし、病気に強く育てやすいことから、最近では植樹する人も増えているようです。
漢字での名の通り、百日もの間、長く咲き続ける花ですから、きっと良いパワーと効果をもたらすでしょう。
椿(ツバキ)
冬の寒い時期に赤や白など色や形がさまざまな花をつける、生垣にも人気の椿。お茶の間や、成人式の花飾り、着物の柄でもよく見かけますね。
しかし時折、椿は縁起が悪い花だと言われるのをきいたことがあるでしょうか。
花が枯れる前に木からぽとりと落ちる様子が、江戸時代末期に首が落ちる様子と似ているとされて武士に避けられたことから縁起が悪いという説が定着したようです。
椿は万葉集にも詠まれ、常緑で雪の中でも美しい花を咲かせることから生命力が強い神聖な植物とされてきました。正倉院にも椿で作られた魔除けの杖が納められています。
そして有名な肥後椿も、もとは熊本藩士が育てていたものだったのです。
花が首から落ちるイメージから武家には嫌われていましたが、椿を忌避した武士さえ魅了するほど美しく、生命力が強く神聖な、縁起がいい花でもあるでしょう。
藤(フジ)
薄紫色の花を垂れ下がるようにたくさん咲かせる藤も、大変人気のある木ですが、「縁起が悪いから家の庭木には植えてはいけない」という俗説もあります。
縁起が悪いと言われる理由はその花の咲き方と、名前。上から下へ下がるように咲くことから「運気を下げる」というイメージと、名前のフジが「不治」と響きが似ることからそう言われるようです。
しかし、フジは「不死」と読めることから縁起がいいとされることもあり、さらに繁殖力が強く大きく育つことから長寿や子孫繁栄の象徴ともされ、また房のような花を稲穂に見立てて豊作と結びつけるなど、大人気でした。
現代でも春の和柄といえば藤のモチーフはよく見られ、むしろ縁起がいいものとして愛されていた証拠ではないでしょうか。
枇杷(ビワ)
実は瑞々しくて美味しく、葉も漢方として扱われ、木材としても優秀な万能選手の枇杷。
それなのに、枇杷は縁起が悪いという迷信があります。
というのも、古くからその枇杷の葉の効能は知られていたため、枇杷の木の周りにはその葉を求めて病人が集まったことから「枇杷の木の周りには病人が絶えない」という噂が広まり、枇杷の木を植えていると病人が集まってきて病気がうつるとされたことで枇杷の木そのものの縁起が悪いという迷信に繋がっていったようです。
とはいえ、現代において病気になったからご近所さんの枇杷の葉をもらいに行こうなどと言う人はあまりいないと思うので、現代においてはただの迷信と言っていいでしょう。
柳(シダレヤナギ)
水辺に植っていると情緒があってすばらしく、上品に枝がなびく様が美人の例えに使われることもある柳も、庭木としては縁起が悪いとされることがあります。
庭木として植えるとどの方角に植えても、家族の仲が悪くなるとか、心を病むとかお金がたまらなくなるとか色恋沙汰で凶をもたらすと言われていますが、中国では春になるとはじめに芽吹く生命力が強い木として神聖な木として儀式などにも用いられ西洋でも長寿を連想されて不死の象徴として扱われていました。
庭木としては風水的に難ありかもしれませんが、美しく風流な柳にはいい意味もたくさんあるので、神経質にならなくて大丈夫ですよ。
紫陽花(アジサイ)
紫陽花が満開になる梅雨の時期にはなかなか気候が安定せず雨が多いために体調を崩しやすいですね。医療が発展していない昔の時代は、梅雨の時期になると現代よりも病気が流行しやすく、死人が多く出る季節でした。
そんな時期に4枚のガクを広げて満開に花を咲かせる紫陽花が病気や死を連想させて縁起が悪いと言われることもありました。
風水的にも恋愛運を吸い取ってしまうと言われていますが、一方であじさいは水を多く吸う植物であることから不運を吸い取ってくれたり、玄関に飾ると金運をあげると信じられていることもあり、感じ方は人それぞれといったところでしょう。
菊(キク)
お葬式やお墓参りのお供物のイメージが強いためか、死や死後の世界に関わるものだとして菊の花を縁起が悪いという人もいます。
葬式やお墓のイメージや、花が長持ちすることから入院中のひとへのお見舞いに菊の花を持っていくのは死や、入院を長引くことを連想するためよくないとする声もありますね。
しかし、「高貴」という花言葉があるように、中国では草花の君子のひとつと数えられる花であり、日本に伝わってきてからも魔除けの効果があると信じられ、貴族たちに深く愛されました。「菊を飾ると福が来る」なんて言葉もあるくらい!
天皇家の家紋も菊の花で、パスポートのも菊のモチーフが描かれているように菊は日本を象徴する花です。お祝い事にもよく用いられ、9月9日の重陽の節句も、「菊の節句」と呼ばれることがあるように、おめでたい花とも言えるでしょう。
彼岸花(ヒガンバナ)
お墓や畦道に、お彼岸の時期になると独特な形の鮮やかな赤い花を咲かせる彼岸花。
咲く場所や時期から、不吉なイメージを持つ方もいることでしょう。
「死人花」や「地獄花」といった、いかにも縁起の悪そうな別名まで…。
実は彼岸花には毒があり、動物に墓を荒らされることを防ぐためお墓に植えられていました。畑のまわりにも多く見られるのも同じく動物からの食害から作物を守るためです。
曼珠沙華と呼ばれることもありますが、こちらはサンスクリット語が由来で、お釈迦様が説法をするときに天界から花が降ってくると言う仏典に登場する花を指しています。
独特な形や毒々しいまでの色から不吉なイメージを持たれがちな彼岸花。たしかに、お墓や畑を荒らしに来た動物たちにとっては不吉以外の何者でもありませんが、土地を守り、吉兆に降る花の名前を冠する人間にとってはとても良い花なのです。
蓮(ハス)
蓮の花もさきに取り上げた菊の花同様、お葬式のイメージが強いためか縁起が悪いと言う人もいるようです。
お寺によく咲いていることからも伺えるように蓮は仏教ではとても神聖な花です。
泥の中から美しい大輪の花を咲かせることから俗世にありながらも清らかに生きることの重要性を示しており、蓮のように生きることが極楽浄土へ生まれ変わる近道とされています。
極楽浄土にはハスの花が咲いていて、極楽浄土に生まれ変わる人は蓮の花の上にぽんと現れるのだと言われています。仏像も蓮の花の上にのっているものが多いですよね。
仏教発祥の地インドでは美の女神ラクシュミーが持つ花であり、インドの国花でもあります。
日本でも、穴が空いていて将来を見通せるとして蓮根は縁起がいい食べ物ですよね。
仏教との結びつきが強いために縁起がいいとも悪いとも言われる花。それが蓮なのです。
梔子(クチナシ)
熟しても実が割れて開かないことからクチナシ(口無し)と呼ばれており、白い花を咲かせ濃厚ないい匂いで人気のクチナシ。
害虫がつきやすい側面もあるので、庭木にすると手入れが大変になると言う現実的な理由もあるようですが、「嫁の口無し」の語呂合わせから、クチナシを植えると縁談に恵まれなくなるので、家には植えてはいけないという俗説があるようです。
一方、西洋では白く香り高い美しい花を咲かせることから「天使が地上に持ってきた花」とも言われ、ウェディングブーケにもよく使われています。アメリカでは、男性が女性をダンスパーティーに誘う際にクチナシの花を渡す風習があり、日本とは全く正反対に女性の幸せや喜びを象徴する花の一つとなっています。
海外でタブーとされている花
ヨーロッパや中国で縁起が悪い、贈ってはいけないと言われている花5種類をご紹介します。
日本とは少し事情が異なるものもありますね。一つずつご紹介します。
チューリップ
日本でも親しまれているチューリップですが、ドイツでは「君の気持ちを感じられない」という花言葉で知られており、「無情の花」として、人に送るのには適さないとされています。
一方で同じドイツでもチューリップの花言葉には諸説あるようなので一概にチューリップを贈ってはいけないということでもなさそうですが、ドイツの方に花を送る際にはチューリップは選ばないのが無難かもしれません。
また日本でも、チューリップは枯れるときに一枚一枚花びらが落ちていく様子から、入院中の方に送るのはタブーとされることがあります。
ひとに贈ることがタブーとなってしまう場面もありますが、たとえばオランダではチューリップは国花として親しまれています。場面にさえ気をつければ大丈夫です。
ユリ
白い百合の花は、キリスト教圏では聖母マリアやイエスといっしょに描かれることが多い花です。
そのため、マリアのような純粋さやイエスの人々に対する無償の愛を表す花であると同時に死を連想させる花とも言われています。キリスト教圏的な敬虔さ、謙虚さ、純粋さを象徴すると同時に、イエスの死を想う花でもあると言うことです。
このような理由から白い百合はキリスト教圏ではお供えの花として一般的であるため百合は「死を連想させるから縁起が悪い」とする考え方もあるようです。
たしかに、お葬式で献花としても使われることが多い花ではありますが同時にマリアやイエスの清らかさを象徴する神聖な花という側面でもあるので、一概に縁起が悪いとは言い切れないところがあります。
黄色い花
ロシアでは、黄色い花全般をひとに贈ることをタブーとする俗信があります。
こちらにも諸説あり、黄色い花は「けんかを招く」とか「浮気の象徴」とか、さまざまな説がありますが、共通しているのは黄色い花束を送ることは別れの象徴であり、その行為が他人、特に恋人との不仲を招くというものです。
ロシアでは黄色い花が悲しみや不正直、別れの象徴とされており、その人がこのような俗信などを深く信じる信心深いひとなら、黄色い花束を贈ることは相手との関係を悪化させる可能性があるので、避けるのが無難と言えるでしょう。
もしあなたがロシアのひとに花を贈る場合はたとえ黄色が好きな人でも赤や白、ピンクなど他の色を選んだ方がいいかもしれません。
カーネーション
母の日でお馴染みのカーネーションですが、ロシアでは赤いカーネーションは凶事のときに贈る、供える花です。
ロシアでは戦争から帰ってきた兵士には奇数の赤いカーネーションを送り、偶数の赤いカーネーションの花束は墓前に備えるという風習があります。
フランスでも、墓前には赤いカーネーションをお供えするそう。
なんでもヨーロッパには、イエスが処刑されて亡くなった際に、母のマリアが涙を流したあとから赤いカーネーションの花が咲いたと言う言い伝えがあり、そのこから墓前には赤いカーネーションをお供えする風習につながったのではないかと言われています。
母の日発祥のアメリカでも、母の日には母親が亡くなっている場合に白いカーネーション、健在ならば赤いカーネーションを贈るという風習があります。日本でも気にする方がいるので、母の日にカーネーションを贈る場合は白以外を選んだほうがいいかもしれません。
ジャスミン
中国では「送礼禁忌」と呼ばれる、贈り物にしてははいけない縁起の悪い贈り物がいくつかあり、ジャスミンの花はその一つです。
中国語でジャスミンを「茉莉花」(モーリーファ)というのですが、この「莉」の発音が「離」と似ていることから、離別を連想させて縁起が悪いとされています。
一方、このジャスミンという花の名前がそもそもペルシャ語では「神からの贈り物」と言う意味の「ヤースミーン」からきており、インドでは結婚式の際はジャスミンの花の髪飾りがよく使われ、おめでたい席で非常に重要な役割を持った花です。
フィリピンではジャスミンの一種が国花に制定され、愛されています。
中国では贈り物とするには縁起が悪いとされている花ではありますが、中東や東南アジアでは非常に縁起が良く愛されている花です。
まとめ:【縁起の悪い花について】
縁起が悪いと言われている花についてご紹介しました。
お祝い事やお見舞いなどで贈りものとする場合は、そのシチュエーションに合った花を選ぶ必要がありますが、個人で楽しむ場合には気にする必要はないと思います。
純粋に花を楽しみ、気分良く過ごすことが一番です。
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