今回は代表的な和柄のひとつ、唐草模様についてご紹介します。
唐草模様の模様が持つ意味

唐草文様はつる草が四方八方に絡みあって描く文様です。
唐草という植物の名や種類があるわけではなく、模様そのものの名称となります。
生命力が強く、また、途切れることなく伸びていくその様子から「繁栄・長寿」の意味があります。
また、次の理由から万代の繁栄・長寿も意味しています。
- 蔓(つる)は音読みの「万(マン)」に通じる
- つるは帯のように伸びる。帯を「代」と読み替え
唐草模様の由来

メソポタミアやエジプトから各地へ、日本にはシルクロードを経由して伝わりました。
起源はギリシアとされ、神殿などの円柱に見られる草の文様が、唐草文様の原型とされます。
日本にシルクロード経由で伝わったのは、古墳時代の5世紀ごろ。
その後の飛鳥時代の古墳である高松塚古墳から出土した鏡(銅鏡)は、ぶどう唐草紋が表されています。
所変わって、アラブ諸国ではモスクの装飾で用いられており、「アラベスク(アラブ風の)」と呼ばれています。
唐草模様は縁起が良い模様

「長寿」や「繁栄」を意味することから縁起の良い模様とされています。
江戸時代には、唐草模様の風呂敷は嫁入り道具や贈答品を運ぶのに使われていたそうです。
風呂敷は明治時代から昭和にかけて多く作られました。
唐草模様に関するQ&A
どろぼうの風呂敷はなぜ唐草模様なのか?

唐草模様のイメージは、どろぼうが風呂敷いっぱいに物を詰め、背負っているイメージが多いかもしれません。
アニメやバラエティ番組などで多く見かける光景ですが、なぜ、唐草模様なのでしょうか。
2つの説があります。
- 唐草柄の風呂敷はどの家にもありました。
盗んだ物を持ち運ぶのに、まず、風呂敷を探し、それを利用した。 - 流行した柄であったため、荷物を包んで持ち運んでも怪しまれることがなかった。
実際にどの程度がどろぼうに使われたかは不明ですが、多くの家が唐草模様の風呂敷を持っていたことは間違いないようですね。
獅子舞の胴体の柄は唐草模様?

もうひとつ、唐草模様のイメージは獅子舞の胴に使われていると思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
獅子舞で画像検索すると、多くは毛卍文(けまんもん)という文様が使われています(中には唐草模様もあります)。
毛卍文は、獅子の巻き毛を表現した文様で、起源は諸説ありますが、古代オリエントまで遡るといわれています。
唐草模様とアラベスク模様の関係について?

アラベスク模様は、アラブ諸国でモスクの壁面装飾として使われる模様です。
渦状の蔦や葉、花が一定の形で絡み、優美な曲線を表しています。
偶像崇拝が禁じられたアラブ諸国では、動物や人物に代わって、この模様が発展。
その美しさ、見る物を圧倒するモチーフは、世界中の人を魅了しました。
日本の唐草模様と直接の関係はありませんが、由来のとおり、古代エジプトやメソポタミアから各地へ広まる中、それぞれの地で発展していったようです。
まとめ:唐草模様は繁栄の意味が込められた模様
唐草模様についてご紹介してきました。日本だけでなく、世界中で愛されているのは人を魅了する模様であるからと言えます。日本では風呂敷の模様となり、それが様々な形で使われているのがおもしろいですね。
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