ヤモリは、昔から「家を守る生きもの」として縁起がよいとされてきました。
家のまわりの虫を食べてくれること、「家守(やもり)」という名前、明かりにまつわる言い伝えなどが、その理由です。
見かけたときは、追い払わずにそっとしておくのがいちばんです。この記事では、私がヤモリに出会ったときの体験と、縁起がよいと言われる理由をまとめました。
私のヤモリ体験:旅先のバーベキューで
2022年の夏、家族で旅行に出かけ、バーベキューをしていたときのことです。ふと見ると、そこにヤモリがいました。
家の壁で見かけるものだと思っていたので、「まさかこんなところに…」と驚きました。
子どもたちは爬虫類が大好きで、見つけたとたんに大興奮。しばらくはお肉よりヤモリに夢中でした。
ヤモリを見たから何かが起きた、というわけではありません。それでも、あの旅行は家族にとって楽しい思い出になりました。思いがけない場所で出会ったヤモリも、その楽しい旅の一場面として、いまも家族の話題にのぼります。
「ヤモリを見たら良いことがある」と聞くと、何か特別なできごとを期待してしまいますが、私にとっては、出会えたこと自体が小さなうれしいできごとでした。
ヤモリが縁起がいいと言われる理由
1.「家守」──家を守る生きもの

ヤモリは漢字で「家守」「屋守」「守宮」と書きます。
人の家のまわりにすみつき、家を守ってくれるように見えることから、「家守」と書かれるようになったと言われています。
2.虫を食べてくれる

日本でよく見かけるニホンヤモリは、人の暮らしの近くにすむ夜行性の生きもので、クモやワラジムシなどの虫を食べて暮らしています。
夜、窓や外灯のそばで見かけるのは、明かりに集まる虫をねらって出てくるためです。
人に害をあたえることはほとんどなく、むしろ虫を減らしてくれる、ありがたい存在です。
3.「ヤモリが来る家はお金持ち」という言い伝え
明かりに集まる虫を食べにくる、というヤモリの習性から、こんな説があります。
夜おそくまで明かりをつけていられるのは、ゆとりのある家だった。明かりのある家には虫が集まり、その虫を食べにヤモリがやってくる――そこから「ヤモリが出る家はお金持ち」と言われるようになった、というものです。
「守宮」という書き方と言い伝え
「守宮」は中国から伝わった書き方です。その由来には、いくつかの説があります。
- いつも家の壁にいるから:中国・唐の時代の薬の本の説として「いつも家の壁にいるので守宮と名づけた」という説明が、平安時代の辞書『和名抄(わみょうしょう)』に引かれています。
- 女性にまつわる言い伝えから:中国の『博物志』には、朱色の砂を食べさせたヤモリをすりつぶして女性の体につける、まじないの話がのっています。この話から「守宮」の名が出たとする説もあります。
どちらが正しいかははっきりしていませんが、昔から人の暮らしのすぐそばにいた生きものだということが伝わってきます。
ヤモリを見かけたときの意味(よく言われること)
ヤモリを見かけたときの意味として、次のようなことがよく言われます。
| 見かけたとき | よく言われること |
|---|---|
| 家にヤモリがいる | 家が守られている。家族が元気にすごせる |
| 明かりのそばにいる | 暮らしにゆとりが出る(金運)※上の「お金持ち」の言い伝えから |
| 2匹いっしょにいる | 夫婦や家族の仲がよい ※沖縄に、ヤモリの夫婦の仲のよさを伝える話があります |
| 卵を見つけた | 子孫繁栄 ※ヤモリは一度に2個ずつ卵を産みます |
ただ、これらの多くは、はっきりした昔からのよりどころがあるわけではなく、「そうだったらうれしい」という気持ちから広まったものです。
宝くじが当たる、といった話も見かけますが、私は「出会えたら少しうれしい」くらいの気持ちで受けとめるのが、ちょうどよいと思っています。
白いヤモリはとくに縁起がいい?
全身が白いヤモリは、めったに見られません。そのため「出会えたらとても幸運」と喜ぶ人もいます。
もし見かけたら、写真に残しておくと、あとで家族の話のたねになりそうです。
ヤモリとイモリのちがい
名前も姿もよく似ていますが、ヤモリとイモリはまったく別の生きものです。
| ヤモリ | イモリ(アカハライモリ) | |
|---|---|---|
| なかま | 爬虫類(トカゲのなかま) | 両生類(カエルのなかま) |
| すむところ | 家のまわり、壁や窓 | 田んぼ・池・小川など、流れのゆるやかな水の中 |
| 見た目 | 体はうろこでおおわれ、指先で壁にはりつく | 背中が黒く、お腹が赤い |
| 卵 | 一度に2個ずつ、壁のすきまなどに産む | 水の中に産む |
見分けるいちばんのポイントは、お腹の赤さといる場所です。家の壁にいたらヤモリ、水辺にいてお腹が赤ければイモリと考えてよいでしょう。
ヤモリを見かけたらどうする?
- 追い払わず、そっとしておくのがいちばんです。家のまわりの虫を食べてくれます。
- 家の中に入ってきて困るときは、つかまえずに、紙や容器でそっと外へ出してあげましょう。
- 子どもが観察するときは、つかまえずに見るだけにして、さわったあとは手を洗いましょう。
まとめ
- ヤモリは「家守」と書き、家を守る生きものとして昔から縁起がよいとされてきた
- 虫を食べてくれること、明かりにまつわる「お金持ち」の言い伝えが、縁起がよいと言われる理由
- 見かけたら、追い払わずにそっとしておく
私の場合は、旅先のバーベキューで出会ったヤモリが、家族の楽しい思い出のひとつになりました。みなさんも、どこかでヤモリに出会ったら、そっと見守ってあげてください。
参考
- コトバンク「やもり」(世界大百科事典・日本大百科全書・百科事典マイペディアの項目)https://kotobank.jp/word/やもり
- 環境省 皇居外苑ニュース「家を守るヤモリ」(2018年8月20日)https://www.env.go.jp/garden/kokyogaien/news/2018/08/post_291.html
- 国土交通省 九州地方整備局 大隅河川国道事務所「両生類」(アカハライモリ)https://www.qsr.mlit.go.jp/osumi/kimotsukigawa/amphibian.html


